多様性・公平性・包括性を兼ね備えた社会の実現に向けて知っておきたいDEI
- Tucksky

- 2023年7月14日
- 読了時間: 5分
更新日:2023年7月28日

DEIを理解し、実践できる人がたくさんいる社会では、固定観念にとらわれることなく、その人らしさが尊重され、だれもが安心して暮らせる社会が実現できます。
ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン
まずは、それぞれの言葉の意味を確認しておきましょう。
多様性(Diversity)
様々な種類、様々な傾向がある様子を表す言葉です。DEIの中では、人種、民族、性別、年齢、性的指向、能力、宗教など、私たちの間には異なる点があることを受容し、価値を見出すことを意味します。多様性を受容するとは、そこにある違いを自分の価値観で評価したり選択したりせず、ありのまま受け入れることです。
日本では、1986年に男女雇用機会均等法、1999年に男女共同参画社会基本法が施行されたのをきっかけに、多くの人々が多様性について知る機会が増えました。しかし、これらの法律が制定されたから多様性が生まれたわけではありません。これらの法律は、元々存在している多様性を認める必要性を示したものです。
公平性(Equity)
公正さを重視し、すべての人が同じ機会を持つことを保証することです。
平等(Equality)とニュアンスは似ていますが、その中身は異なります。

公平性が保たれるということは、個々の違いを受容した上で、すべての人が同じリソース、機会、サポートにアクセスできる環境があることを示しています。そのような環境では、すべての人が健やかに成長し、目標を達成することができます。
包括性(Inclusion)
すべての人が尊重され、価値を認められ、含まれる環境を作り出すことです。背景やアイデンティティに関係なく、すべての個人がその場に関与し、意思決定プロセスや、具体的な活動に参加できる空間が理想です。包括的な空間は、評価や排除の恐れなく過ごせる所属意識を育み、人々に寛容さと安心感を与えます。
なぜ、いまDEIが重要視されるのか
インターネットの普及は、私たちの生活を大きく変えました。インターネットが無い時代には、私たちが手に入れることが難しかった情報にも、今は簡単にアクセスすることができます。それにより、自分たちが知らなかった事実があることに気が付く機会が増えました。
その結果、自分たちが考えていたよりも多くの事実があることにも気が付き、そこに多様性があることを知ります。多様性とは、一つもの物が多岐に分化する場合もあれば、元々複数ある場合もあります。
利き手を例に考えてみると、40年ごろ前までは、左利きは右利きに矯正するものという考えが主流でした。学校では「お箸を持つ方の手が右手」と教えられることは当たり前でしたし、刃物やドアノブは右利きの方が使いやすく作られているので、右利きにした方が良いと考えられていました。
しかし、今では、左利きは矯正しないのが普通になっています。 ここに至るまでにはいくつかの理由がありますが、その多くは昔から存在していた理由です。
・左利きでも問題なく生活している人がいる ・アインシュタインやベートーベンは左利き ・無理に矯正をしたことによって弊害が起こる
これらが事実として存在していても、それを知らなければ「右利きに矯正するべき」という考え方から抜け出すことはできません。一方で、これらの事実を知ると、「矯正しなくても良い」と、新たな選択肢が生まれます。
私はクロスドミナンス(交差利き:動作によって利き手を使い分ける)です。
マウスは右手、テンキーは左手で操作をする方がしっくりきます。
私が初めてPCを学んだ時には、キーボードはテンキーの右側にしかなかったので、右手を使っていましたが、外付けのテンキーや左利き用のキーボードの誕生により、テンキーを左手で入力することが容易になった今は、左手でテンキーを使います。
このように、新たな情報を手に入れること、技術が進歩することは多様化を推進します。
多様な人がいて、多様な考えがあり、それらが共存して新しい社会が作られています。
まさに、現代社会は、情報社会であり、多様な人々の考えや行動をリアルタイムで共有することができます。また、それを可能にしている技術は、今この瞬間にも新たな技術開発が進められています。
多様性からは多くの選択肢が生まれ、それらは成長につながります。
このような概念を理解し、実践するためにDEIが必要とされています。
DEIを実践する
知る・啓発 まず、DEIについて知ることがDEIの実践の第一歩です。
DEIという言葉の意味だけでなく、なぜDEIが必要とされているのか、実際の取り組みはどうなのかなど、言葉の中身を知って欲しいと思います。
学び
差別意識や偏見のない環境を作り出すために、文化の多様さ、対話のスキル、包括的な環境作りについてのトレーニングを実施します。
ニーズへの対応
身近で小規模なグループの中で、差別意識や偏見がないか、当事者のニーズは何かを確認します。この時、自分ひとりで進めると、自身が偏見を持っていても気が付かないことがありますので、複数人で、それぞれが客観的な視点を持ってニーズの確認にあたります。
高い透明性(トランスパレンシー)の確保
偏見や不平等の発生源を排除するために、パフォーマンスの評価や進学、就職のプロセスにおいて、透明性を高め、個人の成果や能力に基づいた公平な判断を行います。 同じ行動をしても、Aさんは賞賛され、Bさんは非難されるといった事態が起こることがないように透明性を高めます。
コミュニケーションとフィードバック
グループ内でのコミュニケーションを活発化し、多様な意見や視点が尊重される環境を作り出します。そのために、一人ひとりが傾聴スキルを身につけたり、自己の意見を正しく伝えるための発信力を身につける必要があります。
まとめ
DEIは社会のあらゆる側面に影響を与える考え方や原則です。
DEIを推進することで、皆が繁栄する機会が与えられるより包括的で公正な世界を創り出すことができます。
ぜひ、職場や学校にDEIを取り入れてください。


